公開日:2026年8月21日
「ろ過すればCODも下がりますか」と、商談やテストのご依頼のときによく聞かれます。
先にお断りしておくと、当社はろ過前後のCODの数値を持っていません。したがって、実測値にもとづいて「これだけ下がります」とは言えません。
それでも当社が「CODを狙って下げる装置ではありません」とお答えしているのには、理由があります。この記事では、SSとCODの違いから、研磨排水のろ過で何が取れて、何が残るのかを整理します。
「ろ過すればCODも下がりますか」とよく聞かれます
排水のご相談をいただくとき、SSの話に続けて出てくることが多いのがCODです。
最初にはっきりさせておきます。手元にあるのはSSの数値だけです。#60〜#1200の研磨排水で、ろ過後のSSが1mg/L未満という結果を、お客様の測定でいただいています。
CODについては、ろ過前後の数値を持っていません。そのため、実測にもとづいて「下がります」とも「下がりません」とも言えません。
それでも聞かれたときは、「FILTEXはCODを狙って下げる装置ではありません」とお答えしています。
以下、その理由を説明します。
SSとCODは、測っているものが違います
SSは浮遊物質のことです。水中に浮遊している固形分の量を示すもので、ろ過によって取り除けるものが主な対象です。
CODは化学的酸素要求量です。水中に含まれる、酸化される物質の量を測る指標です。
ここが肝心なところで、CODは「溶けているか、粒として浮いているか」だけでは決まりません。粒として存在しているものも、溶けているものも、酸化されるものであればCODに影響します。
つまり、SSは主に「水中に浮遊している固形分」を見ているのに対し、CODは「水中にある酸化される物質」を見ています。
測っているものがそもそも違うため、同じ水を測っても、SSとCODが同じように動くとは限りません。
図1:SSとCODは見ているものが違う。重なるのは「浮いている有機物の粒」のところ
物理ろ過なので、溶けているものは通り抜けます
当社の装置は、濾材で固形分をこし取る物理ろ過です。化学反応によって成分を分解したり、生物処理をしたりする装置ではありません。
そのため、粒として存在している固形分は濾材で止められます。一方、水に溶けている成分は、通常の物理ろ過では除去できません。
pHが変わらないのも、溶けている金属イオンがそのまま残るのも、同じ理由です。
これは当社の装置の性能の問題ではなく、物理ろ過という方式そのものの性質です。
図2:粒は濾材の手前で止まる。水に溶けている成分は通り抜ける
研磨室で「溶けたまま流れているもの」
では、研磨室から何が溶けたまま流れているのか。
お客様の現場で実際に使われているものを挙げると、次のようなものがあります。
- アルコール系の潤滑剤
- ダイヤモンドスプレー・ダイヤモンドスラリーに含まれる液体成分
- エタノール(試料の洗浄・乾燥)
- 洗剤・界面活性剤
これらのうち、水に溶けている成分は通常の物理ろ過では除去できません。
研磨排水というと砥粒と削り粉に目が行きますが、CODの話をするときには、こうした水に溶けている成分も考える必要があります。
何をどれだけ使っているかは、意外と把握されていないことが多いというのが実感です。
ただし「まったく動かない」とも言い切れません
ここは正確に書いておきます。
先ほど書いたとおり、CODは溶けているかどうかだけで決まる指標ではありません。
削られた樹脂の粉も、CODに影響する場合があります。樹脂は有機物を含むため、排水中に浮遊している樹脂粉もCODに影響する可能性があります。
その粉をろ過で取り除けば、ろ過前後で測定したCODの値が変化する可能性はあります。ただし、ろ過前後のCODの数値を持っていないため、どの程度変化するのかは言えません。
また、ろ過で取り除けるのは固形分です。水に溶けている成分は残ります。
だから当社では、「ろ過でCODを下げる」という言い方はしていません。
言えるのは、「SSをろ過で取り除いた結果として、CODの測定値が変化する可能性はある。ただし、その程度は実際に測定しなければ分からない」というところまでです。
CODが問題なら、ろ過より先に見るところがあります
CODで指摘を受けている、あるいは心配しているという段階なら、装置を検討する前に見ておいたほうがよいことがあります。
- 研磨室で使っているもの(潤滑剤・スプレー・洗浄用のアルコール・洗剤)を一度書き出す
- そのうち、そのまま排水に流しているものはどれか
- 量を減らせるもの、別のものに替えられるもの、拭き取りで済ませられるものはないか
水に溶けている成分を減らすなら、ろ過よりも「何を使っているか」「どれだけ排水に入っているか」を見直すほうが先です。
そのうえで、SS(固形分)についてはろ過で下げられます。
この二つは分けて考えるほうが早いと思います。
なお、放流先によって見られる指標そのものが変わります。どの指標をどの値で見られるのかは、排水の行き先と各自治体の基準によります。
ここは推測せず、確認先に聞くのが確実です。
本記事で除去の対象としているのはSS(浮遊物質)です。水に溶けている成分やpHは変わりません。
当社はろ過前後のCODの数値を持っていません。本記事のCODに関する記述は、物理ろ過という方式の性質にもとづく説明であり、実測にもとづくものではありません。
排水を放流できるかどうかは、排水の性状と各自治体の基準によって判断されます。
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