ろ過フィルターは「何μm」では選べません|研磨排水で同じ0.05μmの結果が分かれた理由

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公開日:2026年8月20日

フィルターのカタログにある「◯μm」という数字は、業界で統一された基準に基づくものではありません。公称ろ過精度も絶対ろ過精度も、メーカー各社がそれぞれ独自のテストで決めた値です。そして基準の問題を別にしても、数字が同じなら同じ結果になるとは限りません。当社では、同じ0.05μm前後でも、アルミナスラリーは取れて、コロイダルシリカは取れませんでした。フィルターは数字で選ぶものではなく、実際の排水で試した結果で選ぶものだと考えています。

「◯μm」に業界共通の基準はありません

フィルターの性能は「ろ過精度」として μm で表されます。この表記には「公称ろ過精度」と「絶対ろ過精度」の2種類があります。

公称ろ過精度は、メーカーが自社のテストで規定した値です。「◯μmの粒子を何%捕らえられれば◯μmと呼ぶか」という捕集効率の決め方が各社で異なります。絶対ろ過精度のほうが厳しい値ですが、こちらも各社が独自のテストで規定しています。たとえばあるフィルターメーカーは、表示した孔径の粒子に対して初期捕集効率99.9%以上を絶対ろ過精度と定めていますが、これはその会社の規定です。

フィルターメーカー自身が、この点をはっきり書いています。「どちらも業界で統一された基準はなく、メーカー各社が独自のテストで規定した精度となる」(JNCフィルター株式会社)。

つまり、カタログの数字を横に並べて小さいほうを選ぶ、という比べ方は成立しません。同じ物差しで測った数字ではないからです。

これは当社の表記についても同じです。当社のカタログにも「0.04μmアルミナスラリーまで対応」と書いてありますが、この数字も業界共通の試験で出したものではありません。何を根拠にした数字なのかは、この記事の後半で説明します。

同じ0.05μmでも、アルミナは取れてコロイダルシリカは取れませんでした

基準の問題を別にしても、粒子径の数字だけでは結果を予測できません。実際に試して分かったことがあります。

アルミナスラリーは、0.05μmまで細かくなっても当社のフィルターで取れます。ところが同じくらいの粒子径であるコロイダルシリカは、取れません。粒子径は同じなのに、結果が分かれます。

理由は、コロイダルシリカが「集まらないように作られている」ことにあると考えています。コロイダルシリカの粒子は表面がマイナスに帯電していて、そのまわりに電荷の層ができます。粒子どうしが反発しあうため、いつまでも一粒ずつバラバラの状態を保ちます。分散が崩れずに長く使えることがコロイダルシリカという製品の価値なので、そう作られているのは当然です。

ろ過の側から見ると、これは厄介な性質です。このあと説明するとおり、ろ過は粒子が集まって層をつくることに頼っている部分が大きいためです。集まらない粒子は、その仕組みに乗ってきません。

ろ過は「ふるい」ではありません

「何μmまで取れますか」という質問の裏には、ふるいのイメージがあります。目の大きさが決まっていて、それより大きいものは残り、小さいものは落ちる、という考え方です。

実際に起きていることは違います。濾材で止まった粒子は、そこに積もって層になります。そしてこの層そのものが、次のフィルターとして働きます。層の隙間は濾材の目より細かいので、最初なら通り抜けていたはずの粒子も受け止められるようになります。使い始めよりも、少し使ったあとのほうがよく取れるのはこのためです。

逆に言えば、この仕組みは「粒子が集まって層をつくること」が前提です。先ほどのコロイダルシリカのように、粒子どうしが反発して集まらないものは、層をつくらないまま通り抜けていきます。目が細かいか粗いかとは、別の話です。

ですので「何μmまで取れますか」という質問には、正直なところ数字で答えられません。答えられるのは「その排水を流したらどうなったか」だけです。

① 使い始め 排水側(フィルターの内側) ろ過後(フィルターの外側) 目より大きい粒子は止まる 細かい粒子は通り抜ける ② 層ができる 排水側(フィルターの内側) ろ過後(フィルターの外側) 止まった粒子が積もって 層になる ③ 層がフィルターになる 排水側(フィルターの内側) 集まらない粒子 ろ過後(フィルターの外側) 層が細かい粒子も受け止める 集まらない粒子だけが通る
① 使い始め 排水側(フィルターの内側) ろ過後(フィルターの外側) 目より大きい粒子は止まり、細かい粒子は通る ② 層ができる 排水側(フィルターの内側) ろ過後(フィルターの外側) 止まった粒子が積もって層になる ③ 層がフィルターになる 排水側(フィルターの内側) 集まらない粒子 ろ過後(フィルターの外側) 層が細かい粒子も受け止める。 集まらない粒子だけが通る

図:ろ過は目の大きさだけで決まるのではなく、積もった層が次のフィルターとして働きます。集まらない粒子はこの仕組みに乗らず、そのまま通り抜けます。

当社の「0.04μmアルミナスラリーまで」も、試した結果です

冒頭で触れた当社のカタログ表記について、根拠を書いておきます。

この数字は、濾材のスペックから計算したものではありません。お客様の実際の排水を流した結果です。その排水にはいろいろな研磨剤とスラッジが混ざっていて、その中に0.04μmのアルミナも入っていました。それを流したところ、出てきた水が透明になりました。

このとき、SSの数値は測っていません。目で見て透明だった、という事実です。測っていないものを測ったように書きたくないので、そのまま書いています。

ですので「0.04μmまで対応」というのは、「0.04μmのアルミナが混ざった実際の排水で、透明になることを確認した」という意味です。あらゆる0.04μmの粒子が取れるという意味ではありません。現にコロイダルシリカは取れていません。

数字の出どころが分かっていると、その数字をどこまで信じてよいかも判断できます。カタログの数字を見るときは、それがどうやって出た数字なのかを聞いてみてください。当社にも、他のどのメーカーにも、同じことが言えます。

では、何を見て選ぶのか

数字で選べないなら何を見るのか、という話になります。当社としては次の3つだと考えています。

  1. 自分の排水を流して、実際にどうなるか。これが唯一の確実な判断材料です。粒子径のカタログ値を突き合わせても分かりません
  2. 交換にどれだけ手間がかかるか。毎回工具を並べて時間を取られる作りだと、続きません
  3. 交換の頻度と費用。当社の導入先では4〜6か月ごとの交換という実績です。ただしこれは排水の量と濃さで変わるので、そのまま当てはまるとは限りません

2番目について、当社の装置の作りも書いておきます。当社の装置は内圧式です。排水はフィルターの中心から入り、内側から外側へ濾材を通って、ろ過された水がフィルターの外に出ます。捕らえた固形分はフィルターの内側にたまるので、交換で引き上げるときに外へ広がりにくい作りです。

またフィルターは、周囲がろ過後の水で満たされると浮き上がろうとします。これをウレタン付きのボルトで横から押さえています(半固定式)。完全に固定してしまわないので、フィルターがそのまま上側へ抜けます。

本記事で除去の対象としているのはSS(浮遊物質)です。水に溶けている成分やpHは変わりません。排水を放流できるかどうかは、排水の性状と各自治体の基準によって判断されます。

取れるかどうかは、その排水を流してみないと分かりません。無料でろ過テストを承っています。実際の排水をお送りください。

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